絵に描いた餅を食べる方法（5）
−餅を見る人−
思い出したように続いている本シリーズ。
前回、イケメン教祖が科学の源流にあるという話、ヨーロッパでは教会が科学を
押さえ込んだ暗黒時代、そしてそんな中オカルティストが世界を構成する情報を
取り出そうとして失敗した、というところまで話が進んだと思う。
イケメン教祖ムハンマドは合理主義者だと思う。
少なくともあの時代のあのあたりにおいて、あれだけの合理的な思想を
打ち出せるってのはただものではない。
イケメンで、そんだけ頭よかったらそら狙われるわな嫉妬とかで。
一説によるとムハンマドはものごっつイケメンで、年上の女性と結婚したとき
数十人が悲観して自殺したという話だ。
…あと少しまてば3人くらいは救えたろうに（違）
年上の女性と結婚したってのは幼いときに母親と死別したからとか。
母親の面影を彼女に見出したのだろうか？
母親の大切さをクルアーンにも何度となく書いている。
その合理性は後のイスラム世界に受け継がれる。
ウマイア朝のカリフであったハーリドらが訳させ、主任翻訳官フナイ・イブ
・イスハークらの尽力により、100以上の文献がアラビヤ語訳された。
そこから代数学、医学、錬金術（化学）の著しい進歩があった。
おそらくインドあたりからゼロの概念も入ってきただろう。
当然これらの発展がイスラム帝国を支えたといってもいいすぎにはなるまい。
さておき、宗教の名を借りながら合理思想をイスラム世界に持ち込むことに
まんまと成功したムハンマド、その合理思想由来の各種の学術はやがて
すさまじい勢いで発展した後、ヨーロッパにもたらされる。
そのきっかけが血なまぐさい戦争（十字軍）にあるのは悲しすぎるが。
ヨーロッパでも合理思想由来の学術が、さまざまなところに影響を与え始める。
天文学、数学、自然科学などがアラビアから来たのみでなく、論理学、倫理学
哲学など古代ギリシャで行われていた学問も見直される。
この時代あちこちに大学もでき始めた。（実は日本に世界最古の大学？があるが…）
大学で物理学の研究が始まったのは１４世紀というから恐れ入る。
その潮流がさらに絵画にまでもたらされる。
レオナルド・ダ・ヴィンチは鳥の翼をやたらじろじろ見て、その翼を元に
天使の翼を描いた。（受胎告知なんかはその最初のほうかな？）
そらリアルな鳥の翼だったので、賛否両論あったようだ。
以後ダ・ヴィンチはリアルな絵を描くためにさまざまな自然科学を研究する。
その範囲はアホみたいに広く、解剖学、航空（当時は各種航空力学が発達してなかった
ため飛べるものは作れなかったが…）、建築、軍事、気象、天文学、数学…
音楽なんかもやってたようである。
特に人体の構造などを調べることは教会に喧嘩売るようなもんだったし。
あんまり見られたくないものを左手芸左手で逆文字として書いていたり…
こうして中世ルネサンスが花開いたわけなんだけどもさ、実はこの時代、
中世の各都市国家、紛争を繰り返していた。
要は日本の戦国時代である。日本も戦国時代文化が進化したわけで。
少なくともあの当時あんだけ鉄砲大量に持ってた国にはないぞ信長ちゃん。
信長の下に発想力豊かな奴いたら世界史変わってたかもしれない。
どうも信長も合理性ってのが好きだったのか、宣教師からいろいろ知識を
仕入れて政策を実現しようとしていた節がある。
…抵抗勢力に対する弾圧は小泉政権の比じゃないっていうかやりすぎだ。
ヨーロッパに戻って、ちょっと前にネタにしたコペルニクスが地動説唱え
死に逃げしたり、ガリレオがだれもいない教会の中心で
「それでも地球は動くんじゃあ!」と叫んだり
地球が丸いと信じてコロンブスがアメリカに到達したが死ぬまでアメリカだと
思っていなかったり、マゼランは結局地球一周できなかったり…
それまで教会中心の思想にとらわれてた一般の人にとってこの時代はどう映った
だろうか？
新しい物好きの人にはいい時代だったかもしれないが、そうでない人には生きにくい
時代であったともいえるだろうなぁ。思想がどんどん変化する。
教会そのものもルターによる宗教改革の影響で分裂した。
「免罪符って何だよ！んなもん買って天国にGo？地獄で死ね！！」
これまでなーんとなく思い込んでたことが激動の世の中で変わっていく時代、
餅の絵がどんどん立派になっていき、精巧な餅細工ができあがった時代。
…しかし、絵から餅を作るって、まだできそうにないんだが…
だが、いよいよ次回、生物学者たちが餅に手をつける。
今度こそ形態学に入れるなぁ。ダヴィンチが一部手をつけたともいえるけど。
結果、ついに情報と物質をつなぐ鍵を一人の男が手に入れる…んだけど
入手した後、その鍵「15年くらい」放置されてた件について。
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